■ご依頼内容
CANONレンズフード黒→レンズボディ同様仕上げ

こちらのオーナー様は、以前「プロフィット日記2009」にて紹介したレンズフードの塗装事例を見られて、その時と同じような仕様にとご依頼承りました。やはり「黒」一辺倒のフードが気に入らないとの事です。確かにアンバランスなんですよね…。
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■下地処理〜マスキング

フードは塗装がされている訳では無く、プラスチック素地の黒そのままですので、この状態では塗料が密着しません。
足付け処理の後、プラスチックプライマーの塗布が必要です。
塗装が剥がれ易いか剥がれ難いかは、「塗膜の強さ」と思われていますが、実際には「下地の良さ」=「密着性の強さ」が大きく関わっています。
良質の下地があって初めて「塗膜の強さ」が成り立つと考えれます。
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■塗装

フードにプリントされた純正ロゴは残しつつ、レンズボディのグレーベージュと赤いラインを描いています。
0.1ミリ単位の精密なマスキング処理により美しいラインを描いています(赤いラインは1.2〜1.3mmです)
グレーベージュ・レッド共に、レンズボディの色に合わせて色を調色しています。
塗装の質感は「2分艶」にしてシットリとした仕上がりにしています。
勿論クリアーには2液ウレタンクリアーを使用していますので、簡単にキズが付いたり剥がれたりなどしません。耐候性も抜群で、長く使っていても色褪せたりはしません。強固な2:1アクリルポリウレタンクリアーの特徴です。
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■純正ボッチ作成

今回のレンズには、カメラ本体へ取り付ける時に目印となる「ボッチ」が付いています。
これと同じ物をレンズフードにも取り付け、見た目のアクセントと、使い易さを演出いたします。
極小さな部品なので、汎用品では見当たらない為にABS樹脂棒から旋盤作成しています。
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■ボッチ完成

ABS樹脂の特徴としては「塗装がし易い」=「塗料の密着性が良い」ですので、その後赤く塗装します。
使っていて色が磨り減ってはいけませんのでこれにもキチンとクリアーを塗っておきます。
ボディのボッチ同様にしたいので、若干艶を出して5分艶のクリアーにしています。
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■ボッチ取り付け 完成

フード内部には光の反射防止の為、繊維の植毛がされていますので、ここは最初から最後までマスキングをしたままで作業しています。
また、フードとレンズの取り付け接点部分は摩擦が高い為に、後々塗料が剥がれて汚くなってしまう恐れがある為塗っていません。
見切りはプレスラインを利用しているので、見た目も違和感無く仕上げています。
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■完成〜装着

何も違和感無く感じられますが、これは「修復」の技術があってこそ出来る仕事だとも思います。
同じ色、きっちりとしたラインは「芸術」とはおよそ違う、各々が綿密に行われる「計算された作業」によって出来る仕上がりです。
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一番上まで戻って見て頂くと、まるで全然違うレンズに見えてしまいますよね(笑)。
レンズ本体の塗装は難しいですが(稼動部がある場合そのまま塗る訳にはいきませんので)、レンズフードのような単品物であれば塗装は可能ですのでお気軽にご相談下さい。
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