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ご依頼において

 当店は自転車屋では無く「塗装屋」ですので、自転車の分解は承っておりません。オーナー様自身で行って頂くか、自転車専門店にて分解をお願いしてください。
 
 ちなみにこちらのオーナー様は殆どご自分で分解し、最後解らなくなった部分のみ自転車屋さんに持ち込んで外して貰ったそうです。特殊工具が必要だったみたいですね。ただ、先にペダルを外してしまったのでフレームを固定出来なくなってしまい、再びペダルを付けて持ち込んだそうですが…。
最近ではネット上で分解の仕方などを説明したサイトもあるので参考にしてみて下さい。

 色については当店にて色見本を用意しておりますので、一から作るオリジナルカラーでなければ特に追加費用は必要御座いません。

                 web色見本帳 →カラーサンプル=色々
 
■検証

今回は当店で行う塗装では、どれくらい重量が増えるかを検証してみました。

納入時の重量は1235.5g。塗膜を剥がしての今回の再塗装後には1239.5gでした。その差は丁度4グラムです。
新車時には無かった、比重の高い「プライマー」を塗布した上でこの重量ですから比較的優秀な結果だったのでは無いでしょうか。プライマー無しの新車時の「クリアーのみ」の塗装では経年劣化で剥がれるのは時間の問題だったと思いますし(金属素地に直接トップコートは塗れません。塗装の初歩的な定義です)。

画像は計量器にフレームが乗った状態です。微妙ですがちゃんとバランス取っています。
塗料計量用のスケールは精密計りですので計測値は正確です(16万円くらいする計りですので…)。0.1グラム単位で計量出来ます。
■ロゴ作成

今回のご依頼では、「色は変えるけどロゴはそのまま」になりますので、ロゴをそのまま残すのは無理ですが、新たに同じロゴを塗装し直すのは可能です。

オーナー様にご用意頂いたステッカーをスキャナーで読み込み、それをPCソフトでトレースし直してデータを作成します。
■ロゴデータ作成

一つ一つ手作業ですが、これで作成したベクター画像はそのままカッティングプロッタのデータになるので時間を掛けてオリジナルを再現します。ロゴの形状は勿論、オリジナルの横幅縦幅、字間も全て再現します。
■ロゴデータ作成

こちらはステッカーが無かったので、原始的な方法で対応しています。

フレームに透過性のあるマスキングシートを貼り付け、それを鉛筆でトレースし、それをスキャナーで読み込みます。手書きなのでラインは当然ズレが生じていますが全て一人で行うのでそのズレも認識していますので、PC入力時にはこれを踏まえて修正します。

画像ではカッティングシートでは無く、普通に紙に印刷しています。実際に紙に出力して本体オリジナルとの比較を何回も行い、微妙なズレも修正していきます。まさに日進月歩な作業です。

これらのロゴデータ作成は正直費用が大きく掛かりますので、デザイナー等の専門の業者さんにご依頼頂いた方が安く済むかも知れません。epsファイル形式で対応致します。

■マスキングシート作成

作成したデータをカッティングプロッターにて専用のマスキングシートに出力します。
単なる「シール」では無く、耐溶剤性があり、微妙な粘着力の専用マスキングシートです。手でカットする訳ではありませんので、複雑なアール形状も正確無比にカットしてくれます(小さい部分は難しいです)。


■付属部品脱着

画像はフレームに付いている「ブラインドナッター」なるビスです。
薄物で柔らかい(自転車のアルミフレームは5000番以下でしょうか)アルミフレームにボルトを直接締めるとネジ山が潰れてしまうので、ボトルなどを取り付ける部位にはこのようなブラインドナッターが付いていたりします。

これも塗装には邪魔なので取り外します。と言っても再利用は出来ませんので、塗装完了後に新たに取り付けます。
■旧塗膜剥離

剥離の方法には色々と種類がありますが、今回は化学的な方法での剥離剤を使用しています。
その他サンドブラストやサンダーなどの物理的な剥離方法など色々とありますが、いずれもメリットデメリットがあるので、その場その場で最良な方法を選択します。作業だけで無く「コスト」も当然考えています。

■剥離のデメリット

塗装には「美観」「識別」「保護」の3大要素があります。
元々塗ってあった塗膜を剥がすにあたって、保護が一切無い「金属素地」の状態にする場合にはそれ相応の覚悟も必要です。金属素地を露出させれば、一歩間違えれば後に「ブリスター」や「腐食」「層間剥離」が簡単に起こります。

最低限、高性能なエアードライヤーの設備とエアーフィルターの設置と管理、露出した金属に直接素手で触ったりしない作業者の心得が必要です。どれも一つでも足りないと簡単に悪い結果が起こります(と言っても数年持てば良いという方には関係無いかも知れませんので私的見解も含みます)。

金属が空気(酸素)に触れていれば表面はどんどんと酸化が進んでいます。「アルミだから大丈夫」は迷信で、時には鉄の錆びよりも厄介になりますので(アルミの番手によります)、金属の特性くらいは勉強しておきましょう(先に記載したナッターを鉄製にしただけで、イオン化傾向により腐食がひどくなります)。良好な不動態皮膜が勝手に形成してくれれば良いですが、そうでなければアルミも鉄同様に錆びますので(錆び=腐食)。
■アルミ素地調整

化学的・物理的どちらにしても、処理しきれていない部位はかならずあります。剥離剤を使った場合はパラフィン成分を残すと、後に塗装が剥がれてきます。
剥離剤を水で洗い流した際には既に金属表面は酸化がかなり進んでいると考えられるので、改めて物理的な素地調整(サンドブラスト・ウェットブラスト)の処理をするか、燐酸などを使って化学的な処理(エッチング)をしておきましょう。

ただしこれも使い方を誤ると余計に腐食を進行させたりもします(諸刃の剣です…)。アルミの材質(番手)によって希釈率を変えたりして対応します
■ウォッシュプライマー

重量を考えるならば何も塗らないで色を塗る方が望ましいですが、それは塗装の定義に反するので、結果として数年後には剥がれてきます。金属素地に直接上塗りは出来ません。

またプライマーにも色々と種類があります。自家塗装ではラッカーサフェーサーなどでも仕方在りませんが、ラッカーサフェーサーでは正直ブリスターは抑えられません。
同じく2液でもプライマーサフェーサーではアルミへの密着性は低いです。

結果として、アルミには「ウォッシュプライマー」が最も望ましいと思います(当たり前ですが各塗料メーカーも推奨しています)。密着性は勿論、耐腐食性、耐ブリスター性能も驚く程高いです(比重は重いのですが…)。

そもそも私的にアルミに直接プライマーサフェーサーを塗れる物だとは考えていません。プライマーサフェーサーを塗る前にウォッシュプライマーを塗る事は塗装を始めた当初からこれらはセットとして考えています。


■ベースコート塗布

ベース色はソリッドのブラックになります。隠蔽性が高いので、使う塗料も少なくて済みます。

以外に「白」は隠蔽製が低いので、完全隠蔽を望む場合は避けた方がいい色だと思います(私的見解であって、データ出した訳ではありませんが)。
■貼り位置
ご依頼としては、単なるカスタムでは無く「オリジナルっぽく」が前提ですので、ロゴの位置は元の位置が絶対です。当然文字自体の大きさも同じように復元します。
元々、やった仕事は「塗装カルテ」として内容を残すようにしていますので、作業前に色々なデータを残しておいています。


■ロゴ塗装

塗らない部分には養生紙を貼り、データから作成したマスキングシートを貼って、文字の部分はオーナー様ご指定の「濃いグレー」で塗装します。。
■ロゴ入れ塗装
マスキングシートを剥がした直後の画像です。この状態でも艶消しですが、このままでは塗膜の保護にはなりませんので、この後「艶消しクリアー」を塗ります。ご依頼が「艶消し黒」ですので。
「重量」を重視するならばこのままでもOKです。クリアーは意外とタップリ塗るので、塗膜の寿命とかを考えなければプライマーもクリアーも必要無いでしょう。ただ、剥がれますし傷も付きますが…。


■クリアー塗布

本来はもっとウェットに塗って美しく仕上げますが、今回は重量も考え、また仕上がりが「艶消し」になるので、タップリ塗ってテロテロの肌を作る必要もありません。5分程度の艶具合で仕上げます。

艶消しクリアーには軟化剤も混入してあるので、ちょっとした擦り傷や摩擦で傷が付いたり艶が出たりしません。ラッカーのような1液の艶消し剤を使うと簡単に傷が付いたり、耐候性がありません。艶消し仕様でもきっちり2液ウレタンのクリアーをお勧めします。

画像では艶がある状態ですが、硬化するにしたがって艶は消えてきます。

■ブラインドナッター取り付け

わざわざ説明する必要もありませんが、最初に外したナッターを最後に取り付けます。
私的にはブラックアルマイト処理がされたナッターを打ち込みたかったのですがそれは用意しておりませんので、ご希望の方は持ち込みでお願い致します。アルマイト屋さんで加工もしてくれると思います。

■完成

■別件のご依頼

途中で追加となったアルミ製のホイールリムで、色はグリップにあわせてチョイスされました。
これも見本から選んで頂いたので特に追加費用は必要ありません。
■ホイールリム塗装完成

ボディと同じく「艶消し」でのご依頼となりました。

こちらは新品からアルミ素地状態だったので特に剥離処理も必要なく、素地調整(研磨)→ウォッシュプライマー塗布→ベースコート塗布(ブルー)→艶消しクリアー塗布となります。

当店の塗装によって増えた重量は11.4グラムでした。旧塗膜剥離が無かった分、フレームよりは重くなりましたね。
プライマーとクリアー塗らなければ3グラム程度で済んだと思います(直ぐに剥がれると思いますが…)。

■編集後記

後日、オーナー様から組み付け完成のメールと画像を頂きました。
リヤブレーキはペダルで操作する「ピストバイク」なる種類の自転車との事です。
従来のリヤブレーキが無いので普通とはちょっと違ったホイールリムが装着出来るのですね。

ホイールリムの鮮やかなブルーについては、フレームの色とあまりに対照的なので最初は「え?」と思いましたが、完成して納得です。グリップのブルーとバランスが取れてとても良いアクセントになっていますね。感服しました。


■塗装品質
プロフィットは元々「自動車板金塗装」を行っていました。
塗装屋としての始まりは、外資系ディーラーの社員として日々高級輸入車を対称とした高品位な塗装を学ばせて頂き、塗膜永久保障のプログラム受講など理論的な事も勉強させて頂きました。その後のプロフィット設立後も多くの高価な車両を扱わせて頂き、時には数千万の車体修理も承り、遠方の方々からも多くご贔屓頂いてきました。
現在は「小物」を対称とした塗装を承らせて頂いておりますが、行う仕事は何ら変わりありません。材料も同じ物で(独:スタンドックス社)良質な材料を使用しております。
今は自らの工場を持たない「間借り」の形態により固定経費を抑え、高品位な仕上がりを安価に設定して多くの方に提供出来る環境にあると思います。何でもお気軽にご相談下さい。


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